鮨 一幸
私が札幌移住準備中の3月に札幌マイぐい呑部のW氏が予約してくれていたお店。
3か月以上前の話しで、前日にiPhoneカレンダーのお知らせがあるまで正直忘れておりました。笑笑
とは言え、特別忙しいわけでもない私。当日気づいたところで特に問題はない。
というわけで、札幌マイぐい呑部の凸凹3人トリオで伺った。
札幌の狸小路から大通寄りに少し入ったお洒落なビルの2階。知らないと通り過ぎる自信があるくらいひっそりと営業している。

鮨 一幸
北海道札幌市中央区南2条西5丁目31-4 スカレッタビル2F
電話:011-2000-1144
定休日:水曜・祝日・不定休
営業時間:2部制 18時~・20時30分~
店内は、白木のカウンターが美しい8席のみ。
店主が目の届く範囲ってヤツである。

さて今日のマイぐい呑は、西岡小十 絵斑唐津ぐい呑。
最初の酒は、田中六五 糸島産山田錦純米。
事前にW氏が確認してくれていたのでスムーズにマイぐい呑を使用させて頂いた。
静かに宴が始まる。

あまてがれいの刺身
あまてがれいとは、真子鰈の事で一般的には煮付けで食べることの多い魚である。だが新鮮なモノは平目よりも美味いと言われる。
九州では城下鰈と呼ばれ、殿様が召上がる魚だったらしく、庶民の口に入ることがなかったと言われる希少な魚である。 北海道で高級な鰈と言えばマツカワであるが、いきなりの変化球に戸惑う。
塩とワサビが用意されたが、最初の1枚はそのまま頂いた。
あ、美味い。
シコシコと歯ごたえの良い身にほんのりと甘い旨味、鰈特有の臭みはゼロだ。
2枚目は塩で頂く。塩の助けを借りたそれは旨味を増幅させる。良いね。
3枚目は肝を巻いて鎮座する。
こちらは、ワサビを乗せて頂いた。真子のそれらしく少し歯ごたえのある肝が口の中で広がる。 うひゃー。酒がぐびぐびすすむ。
最後にエンガワ。塩とワサビで頂いた。
プル、プリ、じゅわ~。おほほほほほ。

アワビ
巨大な黒鮑。
蒸されて柔らかい。薄造りはそのままいただき、厚切りは肝を乗せて頂く。
なんとも贅沢。

キンキのしゃぶしゃぶ
分厚く切り出された身は、ゼラチン質が多いのでサッと霜降りされると抜群に美味い。
プルンプルン。

はやくも二本目。笑
みむろ杉 特別純米 辛口 露葉風
キリッと辛めだが、香りが花のようで良い。

あん肝
言わずと知れた酒のお供、あんこうの肝だ。
赤提灯の定番ツマミも上品に仕上げる。
噴火湾産のあん肝は上等なフォアグラを食べている感覚になる。
濃厚な味を洗い流すのにベストな「みむろ杉」が加速する。もう、酒の入った左手のぐい呑が手放せないくらいに酒が入っていく。
うふふふ。

水貝
店主いわく、「海中」をイメージして作ったという水貝。
なるほど、シャキシャキの海蘊の上に目に鮮やかな雲丹。この雲丹がまるで珊瑚のように見える。その珊瑚をアワビがそそり立つ岩場のように囲う。穏やかな波に揺れる海藻を緑鮮やかなじゅん菜で彩る。
これは美しいラグーン。珊瑚の楽園だ。
震えたよ、エクセレント。参りました。

さらに三本目。
旭菊 大地の酒 特別純米 29BY
ここから待望の「握り」に入る後半戦だ。

春子
春の子と書いて「かすご」と読み、真鯛の子供である。きめ細やかで柔らかく美味い。
これを食べると、20年程前に父親と二人、平日の昼間から浅草の寿司屋で初めてサシ飲みした日を思い出す。
金髪で生意気なクソガキと、くたびれたスーツで初老の男が、平日の昼間から寿司をつまみながら酒を飲みドンチャン騒ぎ。
ススメられたものは全て注文した。店員さんにはどう見えたのだろか、しばらくすると「今珍しいネタがありまして、カスゴって言いまして鯛の赤ちゃんなんです」と言ってススメられた。
コレが初めて食した春子だった。この時、私の脳に「春子=美味い」と刻まれた。

いわし
一般的には大衆魚だが、北海道のこの時期の鰯はすごい。画像の皮の下の白いところを見たら分かる程しっかり脂が乗っている。こうなると美味い。

金目鯛
皮目を軽く炙った金目鯛。
金目鯛は、皮だけ炙った刺身や すしネタには程よく脂の絞れた方が身の旨味を感じる気がするから不思議である。脂の乗った場合は、身の片側半分を炙ると美味い。

スルスル入るのよの四本目。イヒヒヒ。
不老泉 山廃純米大吟醸 木桶仕込み
こちらは燗で頂きました。
すしネタの濃い旨味に負けない山廃仕込み。良いねぇ。

楽しくなってきたので、ここで六さんも登場させた。中村六郎 備前酒呑。うふふ。


中トロ
大トロ
今日の鮪は、30キロ程の小振りのものだとの事。この時期の鮪は産卵後なので大きな個体だと体力の回復が出来てないので、この時期の鮪は小振りの方が美味いとのことだ。
きめ細やかでねっとりモチモチした肉質で、ほぼメジに近い個体のようだ。メジ好きにはちょうどいい。

馬糞雲丹軍艦
北海道の夏にコレを食べなくて何を食べるのか?と言われる濃厚な夏の味。

ここで、この雲丹に合わせて、切子のグラスに一口ずつ分けてくれたのが
丹澤山 麗峰 純米 阿波山田錦
ブランデーのように香りが膨らむ熟成酒。
うひゃー。

鮎
夏らしい川魚と言えば、この鮎。
サイズもちょうどいい美味いやつ。
ホロホロの肉質も悪くない。
しかし、細かな話しかもしれないが、惜しむらくは腹ワタ。鮎と秋刀魚はワタが旨い。
ワタを抜いてしまっては、ミソのない毛蟹を食っているようなマヌケさがある。
すしに握りやすくするために開いたのだろうが、ホロ苦いワタを感じたい!