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マイぐい呑のススメ

 旅先や出張先で色々な居酒屋を巡り歩く、これは、あなたも経験があると思うが、実に楽しいものだ。
 その地方に根付いた郷土料理を食べ、見たことのない初めて食べる珍味に舌鼓を打ち、酒を呑む。今日はコレを食べたから、明日はコレが食べたいな。明日はどこで呑もうか・・・などと思考を巡らす。これが実に良いのだ。
 そして、その楽しさを何倍にも増幅させてくれる実に奥の深い粋な大人の遊びが「マイぐい呑」である。

 いつも不満に感じることがあった。
 街の居酒屋には、食や酒にこだわりを持つ人が多く集まっている。「◯◯で食べた□□は絶品だった。」とか「◯◯の純米吟醸より、△△の方が美味かった」とか「やっぱり□□は◯◯産に限る」などなど、仲間に自慢していたり、若者に説教していたりと、実に多くの猛者たちがいるのだ。
 しかし、手元の「ぐい呑み」は、なんだかわからない大量生産された実にチープなものである。
 これがBARであれば、やれ「バカラ」だの「ロブマイヤー」「ボヘミア」などとこだわる店が多く、ちょっとした喫茶店でも店主の趣味なのか「ウェッジウッド」や「マイセン」「ノリタケ」などでとこだわる店が多い。しかしこれに対して、なぜか日本料理屋や居酒屋などでは、こだわった器をほとんど見かけない。そればかりか、食や酒に大きなこだわりを持つ猛者たちでも、器を気にかける者は皆無である。仮に自宅では気にしても、外出先までは気にかけないのだ。
 こんな事で良いのか?
 「器は料理の着物」という言葉がある通りで、実にもったいない話だと思うのである。
 せっかく酒を呑むのだから、ウィスキーやワイン、紅茶などのように器にもこだわってみたい。

 しかし、料理の皿や碗をお店に持ち込むのは難しい話になるので、せめて酒くらいは自分の気にいった「ぐい呑み」でいただきたいものである。

 

「ぐい呑み」は小さく持ち運びやすいので、ぜひ持ち歩きたいのである。

 

小島直喜 朝鮮唐津ぐい呑 中村六郎 窯変瓢徳利
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