「酒は呑むべし呑むべからず」だからこそ、酒はできるだけ楽しく飲む方が良い。
これは独酌でも同じである。楽しく気持ちが高揚しながら飲む酒は、さほどの量飲まずともほろ酔いで楽しめるのである。
しかしこれが、気持ちが落ち込んでいるときや悲しいときなどに飲む酒は、なぜだかなかなか酔えず、そのために気がつくと深酒に陥る事がある。多少のストレスを、お酒を呑んで発散する事は悪い事ではないが、完全にダウンしているときはお勧めしない。
アルコール中毒の多くは、体質的にはあまり酒が呑めない人や普段あまり呑まなかった人に起こるらしいのだ。これこそ、完全にダウンしている状態を酒で紛らわせようとした結果だ。
「呑むべからず」だ。だからこそ酒は楽しく呑む事にこだわりたい。
特に相手のいる場合などの会話には気を付けたい。政治や宗教などは避けたい。個人個人の主観がぶつかる事があるからだ。特に、初対面の場合などで口論になってはせっかくの酒席が台無しだ。
こうならないためにも当たり障りのない話題がよい。最近観たTVや映画であったり、食事の話であったりがちょうど良い。
そして話題のないときは無理してしゃべる必要はない。笑顔で聞き手に徹するのも良い。
そして、こんな時にこそ「じつは、今日は、こんなもの持ってきてまして・・・」と言いながら「マイぐい呑」を登場させたい。会話が弾むようになる。
それから、酒は限界まで呑まない事が大切で、少し物足りないくらいがよい。いわゆる「ほろ酔い」程度までが最上である。
これは、アルコール摂取から、脳内にまでアルコールが到達するまでに30分から60分かかるためである。今呑んでいるアルコールは30分から60分後に酔いとして表に出てくるのである。
よく見かける事だが、なんともない顔でお手洗いに立ったと思ったら、ずっと戻ってこないなんて事がある。心配して見に行くと真っ青な顔になっていたり、戻ってきたなと思っていると既に泥酔状態になってしまっていたり。
これでは、周りの人間は介抱する事になり一気にシラケてしまう、全く楽しい酒席とは言えない。ほろ酔いのうちにお開きにできれば、楽しい時間のまま醜態をさらす事なく帰路につけるのである。「ほろ酔いが最上」節度を知って呑む酒は「呑むべし」なのだ。