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ポテトフライで呑む酒の味


8月18日 今日も札幌出張中。 実は、昨夜遅く電話が鳴った。母親だった。 「いま、おばあさんが亡くなってね。明日通夜で、あさって告別式になったんだけど、あんた来れる?」 新店舗オープンを控えた仕事の真っ最中であり、札幌に出張中という状態。 嫁に電話をし、一応、喪主になる父の長男の嫁だからよろしく頼むと、名代をお願いした。 実は、つい数日前、お盆休みと称して里帰りした際に祖母と会っている。 この時すでに病院のベッドの上で点滴に繋がれ、弱々しく肩で呼吸をしていた。 もともと痩せ型であったが、頬はこけ、手足は骨と皮になってしまっていた。 手を握る力はしっかりしていたが、もはや木乃伊のようで、もう長くないと母から説明をされなくても、見たら分かる状態だった。 そんな状態でも、娘の顔を見て、蚊の鳴くような声で絞り出すように「かわいいね・・」って言ってくれたね。 覚悟をしていたし、こればかりは順番だし、92歳だし、大往生だ。なんてカラ元気を出してみるが、いざ現実になるとなんだか気持ちが暗くなる。 本日は祖母の通夜。
 私は、遠い北の地から供養のつもりで、祖母に思いを馳せる事にしたい。 先ずは、「ポテトフライ」のある店を探さなければならない。

開陽亭 すすきのレストランプラザ店

開陽亭 すすきのレストランプラザ店 北海道札幌市中央区南四条西5-1 レストランプラザ札幌 B1F 電話:011-215-1441 定休日:年末年始 営業時間:17時~24時 ここなら「ポテトフライ」くらいあるだろう。 何故、「ポテトフライ」に拘っているのか疑問に思うことだろうが、私達家族の中では、祖母と言えば「ポテトフライ」なのである。 「ポテトフライお待たせしました。」

ポテトフライ 寺田鉄平 作 窯変織部ぐい呑

きたきた、紛れもなく「ポテトフライ」だ。 ポテトフライに、酒は、上川大雪酒造 緑丘蔵2017年 試験醸造 仕込6号純米吟醸無濾過原酒。今日のぐい呑みは、寺田鉄平 作 窯変織部ぐい呑 普段の私なら、まず注文する事のない「ポテトフライ」 家族揃っての外食時、祖母に何を食べたいか問えば、「ポテトフライ。わしはポテトが一番エエ」と言って、必ずポテトフライを注文していた。 「ばあさんは、ポテト食わせとけば大人しい。」なんて、父にからかわれたりしていた。
 私がまだ幼い頃は、世界最大規模のハンバーガーチェーンであるマクドナルドですら、隣町にまで行かないと食す事が出来なかった。 そこで必ず食べるのは、マックフライポテトだった。それは、年に一度か二度のチャンスだった。 今となっては、全く美味いとは思わないが、当時の子供達にはご馳走で、非常に嬉しかったのを覚えている。 ポテトフライは、孫達が喜ぶ。そんな記憶が強く残っていたのだろう。 祖母は注文したポテトフライを二つ三つ食べて、 「ほら、ポテトだに、ウマいで食べにゃ。」って言っては、いつも私達孫にポテトフライをススメてくれた。 祖母は、自身が食べたいのではなく、私達孫の喜ぶ姿が見たかったのだ。 こんな上等なポテトフライじゃなかったけれど・・・。


そんな事を思い返していると、突然わっと涙が溢れてきた。

ポテトフライ

居酒屋のカウンターで、ポテトフライを肴に、目を真っ赤にし涙を溜めながら、日本酒を呑む独りのおっさん。 もはや異常事態である。 「ばあさん、俺、もう41歳だよ。笑」 ポテトフライのせいか、今日の酒は何だか塩っぱい。 長い酒呑み人生、たまにはこんな酒もあるのかもしれない。 〆には、里芋とワカメの味噌汁と永谷園の鮭茶漬けに砂糖甘い卵焼きがあれば、最高だな。なんて、祖母の家でよく食べた朝食を思い出した。 少しは供養になっただろうか、 
今日は祖母の冥福を祈り献杯。

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