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鈴本演芸場

更新日:2023年1月25日


「讃岐さん、落語詳しいんですよね? いま何となく興味があるんですけど、敷居が高くて何から始めたら良いかわからないので教えてください。」と仕事先のU君から相談をされた。 そう、私のもう一つの趣味が落語鑑賞だ。 幼少時代には、ひいばあちゃんの膝の上に抱っこされながらテレビで流れる落語を楽しむ程度だったが、関東に出てきて寄席に通うようになり本格的に聴き始めて、はや20年だ。 着物を着た爺さんやおじさんが座布団に座って面白い話をする。ただそれを観て楽しめば良いだけなのだが、落語を聞いたことのない人にはハードルが高く感じるのだろう。 「伝統芸能=難しいもの」と勝手に思っているのだ。落語はあくまで大衆芸能であり、個人的には小学生低学年くらいの日本語力があれば楽しめるものだと思っている。 「ここで色々説明するより、まず体験したほうがいい。次の休みに寄席に行こうよ」 「いいんですか?ありがとうございます!」 というわけで、今回は寄席である。寄席は、ホール落語と違って飲食ができる場所がまだ残っている。ありがたい事だ。 離れ技ではあるが、こんなところでもマイぐい呑を楽しんでみたい。

鈴本演芸場

鈴本演芸場 東京都台東区上野2-7-12 電話:03-3834-5906 定休日:不定休 営業時間:昼の部12:00開場〜16:30 夜の部17:00開場〜20:30 粋にフラッと入って聴く寄席も楽しい事だが、折角だから少々準備をしたい。 今日の目当ては夜の部なので、開場の1時間前に待ち合わせをした。 寄席は基本的に全席自由なので、ベストポジションを確保するのは早い者勝ちなのだ。 「お待たせしました!今日はよろしくお願いします」時間通りに礼儀正しくU君が登場。 「じゃ行こうか、まずはこっちね」 困惑するU君。 それもそのはず、上野駅から、鈴本演芸場を通り過ぎて南方面に向かって歩いてるのだ。 目的は、上野松坂屋の地下。いわゆるデパ地下である。落語を聴きながら食べるお弁当やツマミを買い出しに来たのだ。 美味いものを呑み食いしながら、落語を聴く。 これが私流、寄席の楽しみ方。 全国各地の美味いものが並ぶデパ地下を物色しながらも、まずは今日の一本を品定め。 運も良く、酒蔵が催事中で試飲を勧めてきた。 佐渡島の北雪酒造だ。 おすすめから、いろいろ試飲して純米大吟醸に決めた。 「この小さい瓶でいいんですけど、冷えたのあります?」 「あ、ありがとうございます。ありますよ」 フフフフ楽しみだ。 さて、続いて弁当にとりかかる。 ツマミもかねて考えてみた。 今半のすき焼き弁当か、それとも天一の天ぷらか。崎陽軒のシュウマイ弁当も捨てがたい。あれやこれやと思考を巡らす。 実に楽しい。 その中で、もくもくと湯気を出した一角がある、おこわの米八だ。湯気の香りに誘われ中を覗くと、季節の味である松茸おこわである。これに完全に心を奪われた。 さっそく、煮物などお惣菜も入ったお弁当にしていただいた。 U君も目を輝かせながら、楽しんでいる。 「お酒も飲んでいいんですね。じゃあボクはビールを」 「準備のいい人なんかは、グラスまで持ち込んで優雅にワインを飲みながら、落語聴いてるよ」 「えぇ!?そんな人いるんですか?笑」 そんなこんなで無事に食糧調達完了、いざ参らん鈴本演芸場。

会場前

戻ると、ちょうど追い出し太鼓が鳴り始めた開場30分前あるが、すでに数十人並んでいる。 開場後、ベストポジションを目指す。 私が思う寄席のベストポジションは、前から3〜4列目の真ん中、噺家の息がかかるほどの位置でスープが冷めない距離というやつだ。

北雪と中村真

幕が上がるまでに、先ほど入手した北雪純米大吟醸や弁当を広げて、マイぐい呑の準備をする。今回のマイぐい呑は、中村真 作 備前ぐい呑。 それから先輩面で、U君に簡単な寄席の作法を伝える。 携帯電話の電源は切るか、無音に設定する。バイブ機能は不可。 基本的に席を立つ時は演目と演目の間にし、身を屈めて一番近い出口から出る。 戻る時は一番後ろの入り口から、演目中は席に戻らない。 食事を摂るのは構わないが、音の出るものは控えたい。 ビニール袋や紙袋、包装紙など音の出るものは、演目と演目の間に済ます。 いざとなったら、直ぐにテーブルを畳んで人が通れるようにしておく。 飲み過ぎて、隣近所、演者に絡まない。 居眠りをしてもいいが、イビキは厳禁だ。 最後に、 肩の力を抜いて頭のネジを緩めて、ただ笑えばいい。 さあ、幕が上がる。 楽しもう。 〜みっちり4時間の寄席タイム〜 小多け 「手紙無筆」 圭花 「子ほめ」 ストレート松浦 ジャグリング 玉の輔 「告知の作法」 龍玉 「親子酒」 正楽 紙切り 題目:アインシュタイン、ゲリラ豪雨、目黒の秋刀魚、お菊人形 燕路 「小言念仏」 雲助 「お菊の皿」 ホンキートンク 漫才 さん助 「雑俳」 小菊 粋曲 白酒 「抜け雀」 〜〜 「こんなに面白いものが有ったんですね!久しぶりに涙が出るほど笑いました!!」 いつもは大人しいU君が、珍しく興奮している。よほど楽しんでくれたようだ。 良かったネ。 私も久しぶりに大笑いして楽しかった。 では、ほろ酔いのままですが、 今日の「マイぐい呑ライフ」に乾杯。

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