毎度ながらの北海道出張中。 しかしながら今回は若干の違いがある。 いつもと同じように札幌に連泊出来なかったのである。 国民的スーパーアイドルJのAが、明日から札幌ドームコンサートだそうでホテルに空きがないのだ。 アレコレ調べて、何とか千歳駅から徒歩5分程度の場所に宿を取る事ができた。 そんなボヤキをいつもの寿司屋でこぼす。 「千歳に行くなら、ココに是非行ってみて下さい。美味しいですよ」ホホウ。 さて当日、仕事を済ませ19時過ぎには千歳駅に到着。
早速、仕入れた情報のお店に入店できるか電話する。 私「札幌の【くりや】さんからの紹介で、お電話いたしました。一人なんですけど、これから大丈夫ですか?」 店「ひゃっ!? あ、ありがとうございます!少々お待ち下さい。」なぜか一瞬悲鳴のような声を出す女性の声。どうしたのだろうか? 数秒の沈黙後 店「か、カウンター用意できましたので大丈夫です!」 私「これからホテルにチェックインしますので30分ほどでお伺いします。」 店「お、お待ちしております!」 ホテルからグリーンベルトを超えて2ブロックほど歩くと看板が見えた。
すし心 福籠 北海道千歳市幸町 2-6 フリージア幸町ビル 1F
電話:0123-23-5766
営業時間:17時~24時 元々はスナックやパブだったのであろう。カウンター4席とテーブル席2つの小ぢんまりとした店内だ。 和服姿の女将さんが笑顔で出迎えてくれた。 つけ場には白衣にネクタイの真面目そうな店主。 真面目そうな店主・・・。 オヤ?その顔にピントきたら110番・・・。 ではなく、見覚えのある顔だ。もしや? 私「大将、もしかして北の華にいらっしゃいました?」 大将「はい、そうです」 私「もう何年も前だから覚えていらっしゃるか、自前のぐい呑みを出して酒を飲んだ客いませんでした?それ私です。」 大将「えぇ!?はいはい。あの時の!?」 私「そうなんです。何度か伺った時、たまたま必ず握って頂いてます。こんな事あるんですね。」 女将「今日は、札幌の【くりや】さんのご紹介だそうで、ありがとうございます。びっくりしました・・・。恐れ多くて・・・」 ナルホド。電話の時の悲鳴はコレだったらしい。 私「そうなんです。たまたま札幌に連泊出来ずに、今週の金曜日は千歳に宿泊だって話を【くりや】さんでしてたんですよ、そうしたら、【千歳に行くならぜひ行ってみてください】って言われたんです。」 大将「うわ〜ぁ、ありがとうございます。」 私「それで、大将の顔を見て、あぁ、そういう事ね。ナルホドって納得できました。」 大将「えぇ?!何だかキンチョーしてきました」 私「いやいや、いつも通りでお願いします。」 大将「私なんて、【くりや】さんの足元にも及ばないですから・・・え〜っ、うわーどうしよう・・・」 私「ここを紹介されなかったら、【北の華】に行こうと思ってので、大将がここに居て、むしろ私には良かったです。安心できました」 大将「ガンバリマス」 何だかロボットのようにカクカクした動きになってしまった大将。少々緊張させてしまったようで、申し訳ないが、そこは流石のプロ。包丁を持って何やら白身の魚を切り始めたら、スッといつもの表情になる。フフフ。 食事はお任せのコースをお願いした。
それでは、まずはお酒。 写楽の純米から始めよう。
先付けは、カワハギの薄造り。 本日のマイぐい呑みは、中村和樹作、備前ぐい呑み。 これから始まるコースのプロローグに、いやが上にも期待が膨らむ。
まずは刺し身の盛り合わせ。 ツブ、タコ、鰊、マツカワ このニシン小骨を全く感じない。きめ細やかな下ごしらえ。エクセレント。 写真を撮り忘れたがここで酒をチェンジ。裏ロ万無濾過純米吟醸。 今日はせっかくだから、もう一つのぐい呑みも出して使い分けてみよう。もう一つのぐい呑みは、寺田鉄平作 織部ぐい呑。
白子の入った茶碗蒸しと鱈の幽庵焼と続く。 幽庵焼は、一見照り焼きに見えるが、若干作り方が違う。 美食茶人として有名な「北村祐庵」が考案したと言われ、醤油、酒、味醂を同量に混ぜ、柚子やカボスの輪切りで香りを付け作った漬けタレに、魚などを漬けてから焼いて食す料理である。 漬ける事により、味が染み込むのはもちろん、魚の水分や臭みが程よく抜け身の旨味も凝縮される。 上品ぶって箸で丁寧に頂いてはいるが、本当は、手掴まえにして口の周りをベタベタにしながら骨までしゃぶった方が、ぜったいに美味い。イヒヒヒ。
口直しにトマト。出汁漬けになった冷たいトマトさん。ナイス。
続いて、蝦蛄のオスとメス。オスはにきりで、メスはつめで頂く。フフフ。
ここで 赤武酒造 AKABU「F」を追加。 さあ、握りの始まり。
いきなり王道のトロで攻める。ニヤリ。 ネタもさることながら、北海道の寿司屋にありがちなネタの新鮮さだけの「おにぎり寿司」ではなく握りの塩梅が良い。ナイス。
北寄貝炙り。 肉厚の北寄を軽く炙って握る。北寄貝はとても飯に合うと思う。
イクラは手巻きで。 今年は鮭の不漁で希少なイクラ。北海道らしい甘めの味付け。
雲丹。 銀座の寿司屋なら幾らになるのだろうかと思うほどの雲丹は、ベーシックに軍艦でいただく。ホホホ。
平貝と秋刀魚。 少々小振りな平貝に北海道の寿司の定番である秋刀魚。
真タチは炙って握り。 さて本日のクライマックスは、いかにも北海道らしいネタである鱈の白子。トロントロン。
アオサの味噌汁でフィニッシュ。 店主は、終始「何だかすみません。」を連呼しているが、いやいやどうして、さすがの内容だ。
満足した。 まだ若い店主、これからどう進化していくのかを楽しみにしたい。 それから、この奇跡のようなマイぐい呑みが繋ぐ出会いに感謝。 ご馳走さまです。 それでは、今日のマイぐい呑ライフに乾杯。
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