帯広で日本酒を飲むなら押さえておきたい店がある。 今日は、仕事先の方と二人で伺った。 19時30分ごろに店の前を通るが、暖簾が出ていない。 休みかと諦めかけたが、店内は明るい。 「大丈夫ですか?」と声をかけてみると 奥から大将の声 「まだ準備中なんですが、ビールでも飲んで待っててください。」 とりあえず入店できた。 ぶんぶく 北海道帯広市西2条南11-8 電話:0155-27-5535 定休日:不定休 営業時間:不定 なんでも今日は、農家の手伝いで日中に野良仕事をしていたそうで、いつもより遅くなってしまったらしい。 そういえば、札幌行きの特急スーパーとかちも走っておらず、明日の移動は3時間以上バスに揺られる予定である。今年の台風10号の影響がまだ残っているようだ。 さて、この店はメニュー表というものがない。料理も酒も。 調子がいいと食材が小さな黒板に書かれているくらい。 大将との会話から料理も酒も用意される。 まずは、サッポロクラシックで喉を湿す。 今日の先つけは、蕨と笹竹。
しかしなんだこの量は、山盛りだ。 そろそろ酒を・・・ 大将は、おもむろに、四合瓶を2本置いた。
田酒で有名な西田酒造店の「外ヶ濱」純米吟醸TREIZE、AYとSGの2本である。 大将から渡された口上書きを読む。 外ヶ濱 純米吟醸TREIZE AY/SGについて TREIZEとはフランス語で「13」を意味します。 違う仕込み方でアルコール度数が13%のお酒を目指しました。 割り水なしの、原酒で13%という身体に優しい日本酒です。 AY・・・酒母四段仕込みにより濃醇さを追求。 SG・・・麹四段仕込みにより酸と甘さのバランスを追求。 ぜひグラスを2個用意して、飲み比べをお楽しみください。 また、この商品は蔵人のスキルアップを目的とした商品の為 本年のみの発売となります。 なるほど、完全限定のプロトタイプだ。 味は口上書き通り、AYがふんわり芳醇で、SGは甘みがあり酸味もよくさっぱりしている。どちらも美味いが、私の好みはSGである。むふふ。 今回のマイぐい呑みは、陶器ではなくガラス、江戸切子だ。三代秀石を襲名し、最年少で江戸切子の伝統工芸士に認定された、江戸切子若手ナンバーワンの呼び声も高い堀口徹 作 ぐい呑「喜久繋」。堀口氏は、私と同い年であることもあり、勝手に親近感がある。 続いて刺身の盛り合わせが登場する。
イカ、ホタテ、シマアジだ。 烏賊やホタテが新鮮なのはもちろんであるが、シマアジも肉厚ブリブリで美味い。 酒も進む。 がしかし、イカは一杯分、ホタテは4個、シマアジも一尾分だ。 どう見ても、4〜5人前の量だ。デカ盛りすぎやしませんか? ちょうどその頃2組の常連さんらしきお客さんが入店。 客「田酒ある?」 大将「今は、切らしてるので似たようなのだしますね」 大将「お腹空いてます?」 客「そうだね」 大将「魚か肉がありますよ」 客「じゃあ肉でお願い」 大将「わかりました」 大将と注文に関して話すのは、だいたいこれくらい。 細かな注文は無用だ、酒の選択、出てくる料理は信頼されている証拠だ。 手早く、酒を準備し、調理を始める。 私と大将とで器談義が始まる。 大将「透明な江戸切子って、珍しいですよね? これ小樽ガラスのぐい呑みなんですけど、ここまで薄いと持ち運びは難しいですよね。」 私「そうですね、江戸切子は色ついた方が多いですよね。 ここまで薄いとさすがに怖いですね、お店に置いてもらうのもアリですよね。」 大将「うちみたいなお店だと良いのかもしれませんね。こうやってお客さんのぐい呑みを預かって棚に並べて・・・割れても責任取れませんけど。笑」 私「でも、そういうお店実際ありますよ、やってみたらどうですか?」 大将と私の会話を聞いて声ががかる。 客「ひょっとして陶芸家さんか何かですか?」 私「いえいえ、こうやってぐい呑みを持ち歩いて酒を呑む遊びをしているんです。」 客「え!持ち歩いているんですか?」 私「そうです、いつでも気に入ったぐい呑みで呑めますので。いつもは陶器なんですが、今日は江戸切子です。」 客「私も自宅で、ちょっと良いぐい呑みで呑んでますが、持ち歩く発想はなかったです。今度持ってきてみようかな。」 私「楽しいですよ、ぜひやってみてください。」 客「そうだね、持ってこよう。で、ここに置いてもらえば良いんだ。」 大将「良いですよ、割れても良ければ。笑」 こんな輪が広がるのが楽しい。 気がつけば、酒も2本とも飲みきってしまった。
そうこうしていると、もう一皿何か出てきた。百合根だ。
百合根のホイル焼き。これがまたデカイ。ゲンコツなんてものじゃない。
これが香ばしくホクホクしてうまい。
おや?大将、何を準備してるのかしら?
まだ出てくるの?笑
今度は、鳥もも肉の炭火焼。
しかも1人一本。もはや笑うしかない。 ちなみにここまで、
私から「そろそろ酒」以外、特に何も注文していない。 自動オーダー方式なのか?笑
鳥もも肉の炭火焼は、熱々を手掴まえでかぶりつく。ジューシーでうまい。
ここで正雪純米吟醸が出てきた。
しっかりめの味で肉とも相性がいい。 おかげで、いけるか心配だったが、しっかり食べきった。 いやはや、 お腹も心も満腹だ。 ごちそうさまでした。 今日の「マイぐい呑ライフ」に乾杯。