「日本酒は好きだけど、なんだか色々な種類があって複雑でよくわからない」と言われることが最近多くなってきたので、日本酒好きな方には常識的な話ではあるが、アウトプットしてみようと思う。
ある程度の知識を持ってラベルを読み解くとその方向性が見えてくる。 今回は、特定名称酒、日本酒度、酸度に触れてみたい。
まずは、よく耳にする大吟醸や純米などの特定名称酒を理解したい。
特定名称酒とは、日本酒の製法により区別したもので一つの指針が見て取れる。 純米大吟醸・・・精米歩合50%以下、麹歩合15%以上。 純米吟醸酒・・・精米歩合60%以下、麹歩合15%以上。 純米酒・・・・・精米歩合による規定はない、麹歩合15%以上。 大吟醸酒・・・・精米歩合50%以下、麹歩合15%以上、醸造アルコールを添加。 吟醸酒・・・・・精米歩合60%以下、麹歩合15%以上、醸造のアルコールを添加。 本醸造酒・・・・精米歩合70%以下、麹歩合15%以上、醸造のアルコールを添加。 以上のように分類される。
精米歩合(せいまいぶあい)とは、酒造りの際に精米するパーセンテージを表している。精米歩合60%とは玄米の段階から40%を精米した事を示す。 この精米は、酒作りの中でとても重要で、一般的に精米歩合のパーセンテージが低いほど、雑味がなく香りの良いすっきりとした酒ができる。また精米歩合のパーセンテージが低いほど、絶対的な質量が少なくなるため高価になっていく。
麹歩合とは、白米を含めた全質量における麹の割合。一般的に20〜23%と言われている。
醸造アルコールとは、食用のエタノールのことで、一般的にはサトウキビから作られる蒸留酒で、品質調整やアルコール度数の調整などに使われる。 普通酒以外の日本酒には白米の仕込み総量に対して添加量10%以下と決められている。 この醸造アルコールは、度々、悪酔いになる原因と主張する側と、サワーや缶チュウハイにも使われる甲類の焼酎だから悪酔いの原因ではないと主張する側とでぶつかる。 私個人的な意見で言えば、安いサワーや缶チュウハイに悪酔いする体質なので、醸造アルコール添加の酒は避けている。 スッキリして飲みやすいという意見もあるので、自身の体質に合わせてチョイスする事をお勧めする。 特定名称酒をわかりやすく表にすると以下のようになる。 ※普通酒や特別は特定名称酒ではないがわかりやすいと思い入れてみた。
特別純米や特別本醸造などの「特別」表記 精米歩合 60% 以下、又は 特別な醸造方法で造った酒とされている。 精米歩合 60% 以下で、吟醸酒、純米吟醸酒並み醸造したが、吟醸酒に値するまでの醸造方法をとっていない。などや 精米歩合70%以下で、本醸造酒、純米酒並みで醸造したが、吟醸酒 に値するくらいの醸造方法をとった。などの場合がある。 また、精米歩合、醸造方法からも本来は吟醸酒や純米吟醸酒だが、酒蔵のブランドで、すでに吟醸酒、純米吟醸酒の商品があるためにこれと区別するために表記されることもある。 続いて日本酒度の表記について 水4℃、日本酒15℃での比重の差を表したもので、糖分の差と言われる。 糖分が少ない方がアルコール度数が高く質量は軽くなる=日本酒度が高いとなる。 糖分が多い方がアルコール度数が低く質量は重くなる=日本酒度が低いとなる。 0を標準として+に高いほど糖度が低く辛口。−に高いほど糖度が高く甘口。 表にすると以下のようになる。
酸度の表記について 酒に含まれる、乳酸・コハク酸・クエン酸・リンゴ酸等の酸の量を表したもの。
乳酸・・・・・乳製品や漬物などの発酵食品に多く含まれるうまみ成分。クセのない、柔らかみのある酸味。
コハク酸・・・貝類のうまみ成分の酸として知られる有機酸。強いとエグ味になる。
クエン酸・・・梅干しや柑橘類に多く含まれる。爽やかな酸味。体調によって感じ方に変化が出ると言われる。
リンゴ酸・・・林檎から発見されたことから名が付けられた酸。クエン酸よりも柔らかな酸味。
一般的に酸度の高いほど、甘さを感じなくなると言われる。
甘辛度
単純ではない味覚を数値化するために日本酒度と酸度との関係を表した計算式がある。個人的には、酒の評価は甘い、辛いではないのだが、一応の参考程度においておくことにする。
実際は、日本酒度と酸度以外にも、香りや温度、さらには体調などによっても感じ方は異なるため単純ではないが、ある一定の方向性を見ることができる。
ただし、この情報から美味い酒が判るわけではないので注意したい。 私個人的には「美味い酒」というものとは全く関係ないと思っている。
30年ほど前からの淡麗辛口ブームの弊害で「淡麗辛口」が美味い酒の条件のように今だ囃立てる傾向が見受けられる。ある時期までは、私自身もそう思い疑わなかった。 そんな私にある方が教えてくれた。
「そんなに辛口、辛口、淡麗、淡麗と言うのなら、無理して日本酒を飲む必要なない。焼酎を飲めばいい。」
随分乱暴な言い方だが、辛口、淡麗を突き詰めたらそれはもう日本酒である必要はなくなると言うのだ。 メディアのなどの刷り込みによるステレオタイプな思考回路になっていたことを恥じた。私自身が本当に求めている「日本酒の美味さ」はそこには無いと気付かされた。 そして飲んだことのない酒を積極的に飲むようになった。今では、レコードやCDのジャケ買いのように、日本酒のラベ買いを行って楽しめるようになった。思わぬ出会いや発見もあってなかなか楽しいものである。 そう言えば淡麗辛口の酒以外選んだことないというあなた、いちど固定観念を外してもっと自由に酒を楽しんでみてはどうかと思う。
新しい発見があることと思う。
それでは、
あなたのマイぐい呑ライフに乾杯。
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